化学的に盆栽を考える 盆栽研究者 尾路旭松園

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化学的に盆栽を考える 盆栽研究者 尾路旭松園

みんなが盆栽を楽しめるような環境作りを…と願う、情熱と優しさに溢れた園主が皆に伝えたい想いとは?

40歳で稼業を継ぐことを決めた尾路悟さん。今では海外への輸出にとどまらず、盆栽の素晴らしさを日本人へと伝えようと様々なイベントも開催。尾路さんの盆栽にかける情熱と優しさに迫ります。

黒松や五葉松に特化。威風堂々たるさまは、
まさに日本の伝統美

「尾路旭松園」は、県道33号線沿いにあり、高松の中心部から来ると最初の右手に見える盆栽園で、JA香川県高松市西部鬼無支店のすぐ手前にあり、JR鬼無駅からも徒歩ですぐに行けます。黒松や五葉松をメインに苗木から1〜3mの庭木まで販売しています。

40歳から盆栽の世界へ。
だからこそ今も探究心が尽きない

園主を務めるのは3代目・尾路悟(おろさとる)さん。若い頃は稼業の盆栽業を継ぐつもりはなく、香川県外の農学部の大学院を卒業。微生物関係の会社に就職し、研究に没頭する日々を過ごしていました。
しかし2代目の体調不良を機に帰郷して稼業を継ぐことを決意。2000年、40歳のときでした。
「その頃は、技術はもちろん仕入先の業者も何にも分からない状態でした。父は1年後に他界してしまい、じっくり教わることができなかった。大学で農学部にいた経験や知識、園に勤めていた職人に聞くことだけが頼りでした」と当時を振り返ります。

2000年頃といえば盆栽業界の需要が減りつつある厳しいとき。先行きを悩んでいたところ海外への輸出が盛んになり助けられたと尾路さんは言います。今は台湾をはじめとする東南アジアとヨーロッパへの輸出が売上の半分程度を占めています。


最近は「変わった松がほしい」というニーズも増えているとも。
黒松の突然変異から誕生し、樹皮が荒れ老木感が出やすい荒皮性(あらかわしょう)と葉の緑色が濃く芽吹きがよい特徴を併せ持つ松を、園名の一文字を取り「旭龍(きょくりゅう)」と名付けました。旭龍は園の主力品種に成長しています。


みんなが楽しめる盆栽を広めていきたい

香川県盆栽生産振興協議会の会長を務める尾路さん。
「海外の方々が盆栽にこんなに注目しているので、改めて日本の方々にも楽しんでもらいたい」と考えています。
盆栽を暮らしに取り入れるヒントになればと若手を中心に住宅展示場でのイベントを開催。通常は生花や観葉植物で飾られている住宅展示場を盆栽でアレンジしました。小さいものから大きいもの、松だけでなく落葉樹など様々な盆栽を飾ったところ、とても喜ばれ手応えを感じています。

尾路さんの園には盆栽の他に、材料を探しにくる方も多いとのこと。
「これから盆栽を始める方はうちに来てくれれば色んな話もできるし、どこに行けばこんな盆栽もあるよ、と教えてあげられます」
誰もが楽しめる「大衆盆栽」であることが高松盆栽の魅力であると考える尾路さん。みんなが盆栽を楽しめるような環境作りに情熱を燃やしています。

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この記事を書いた人

野口育実

野口育実
盆栽妙スタッフ。モノを育てる・増やすのが好きで、メダカや菌類を増やすのが趣味。盆栽初心者で入社し、今では盆栽と苔の世界にハマる。現在は挿し木と苔テラリウムについて日々勉強中の二児の母。
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